良き睡眠こそ、活力の源

がん治療の鉄則の2つ目としてがん治療の種類にかかわらず良い結果を出すためには、できるだけ質の高い睡眠を取る事は不可欠です。睡眠障害は気力を低下させるばかりか、免疫力を下げがんにとって都合の良い環境になってしまいます。

がん患者さんの睡眠不足の原因は大きく3つあります。 1つ目は癌自身によるもので痛みや息苦しさ、倦怠感、吐き気、下痢、腹部膨満感などがあります。2つ目はがんの治療の副作用による睡眠不足です。術後の痛み、抗がん剤と放射線治療の副作用によるもの、ステロイドなどの投薬によるものです。3つ目は現状と将来に対する不安やうつです。この3者を合計すると3割から5割の方が不眠に悩まされています。不眠のタイプは大きく4つに分かれます。まずはなかなか寝付けない入眠障害、途中で起きてしばらく寝れない中途覚醒、朝早く起きてしまう早朝覚醒、寝た気がしない熟眠障害があります。まずは原因が3者のうちのどれなのかの見極めが必要です。そして最も重要なのはがん治療の有効率を引き上げるにはこの睡眠障害の的確な治療が欠かせません。軌道修正は問診を通して行います。まずある程度は規則正しい生活をすること。できるだけ同じ時間に起きる習慣も大事です。また日中はできるだけ日光に当たることも大事で後述する運動療法と合わせて散歩をお勧めすることもあります。夕方からカフェインを取らないようにする生活習慣も大事です。睡眠の質を向上させるメラトニンやセロトニンの原料となるトリプトファンを多く含む食材として豆腐、納豆、味噌などの大豆加工食品や青魚(サバ、カツオ、秋刀魚)、ナッツ類、卵、ごま、バナナなどをバランスよく取ることをお勧めしています。不安を解消することも重要な要素です。数多あるインターネット情報から自分に合ったもしくは正しい情報を選び出すのは困難です。私がコンサルティングをしててしばしば思うのはがんについての理解で正しく怖がるのは難しいです。正しく怖がるとは難しい表現ですが、精神的かつ身体的に弱っていると些細なことで悲しみすぎたり、不安を煽る情報を見るとどんなに強靭な心のつもりでも気が下がったり落ち込んでしまい結果として睡眠障害につながる事は珍しくありません。心穏やかに大極を見据えて道傍にがんを手放していく。日々この繰り返しです。

関連キーワード

関連記事

RELATED POST

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP
MENU
お問合せ