膵がんは、早期に症状が出にくく、発見が遅れることが多い疾患です。しかし、膵がんと診断されても仕事を続けたい、あるいは生活を維持したいと考える方は少なくありません。膵がんとその治療に伴う影響を理解しながら、仕事との両立についてお話ししていきます。

1. 膵がんの主な症状

膵がんは、初期には特有の症状がほとんどないため、「サイレントキラー」とも呼ばれます。症状が現れる頃には進行していることが多いですが、以下のような兆候に注意が必要です。

腹痛や背中の痛み: 膵臓の位置が体の奥にあるため、痛みは背中に放射されることがあります。

体重減少: 特に食欲が落ちたり、原因不明の体重減少が続く場合は要注意です。

黄疸（皮膚や目が黄色くなる）: 胆管が膵がんによって圧迫されると、胆汁の流れが悪くなり、黄疸が現れます。

消化不良や便の変化: 胃腸の機能が低下し、消化不良や便の色が変わることがあります。

急激な血糖上昇: 糖尿病で過去２，３か月の血糖の平均を意味するHbA1cが急に上がると膵癌を疑う必要があります。

これらの症状は他の病気でも見られるため、早期発見には定期的な検査が重要です。

2. 膵がん治療と仕事への影響

膵がんの治療法には、手術、化学療法、放射線療法などがあり、個々の状況に応じて選ばれます。治療は体力を消耗するため、仕事への影響も考慮する必要があります。

手術後の回復期間: 膵がんの手術は非常に大掛かりで、回復には時間がかかります。通常、数週間から数ヶ月の休職が必要になるでしょう。無理をせず、医師と相談しながら復帰のタイミングを決めましょう。

化学療法の副作用: 化学療法は体に強い影響を及ぼし、倦怠感、吐き気、脱毛などが生じることがあります。仕事中の疲労感が強くなるため、柔軟な働き方や在宅勤務などが選択肢となる場合があります。

放射線療法: 放射線療法も疲労を引き起こすことがあり、治療後に仕事を続けるのは難しい場合があります。治療スケジュールに合わせて仕事を調整することが大切です。

3. 仕事と治療を両立するためのポイント

膵がんの治療と仕事を両立させるには、いくつかの戦略を考えておくとよいでしょう。

① 職場に状況を共有する

職場の理解があれば、柔軟な勤務時間や在宅勤務が許可される場合があります。プライバシーを守りたい場合でも、上司や人事部に必要最低限の情報を伝え、負担を軽減できるように調整してもらいましょう。

② 治療スケジュールに合わせた勤務計画

治療の日や体調の悪い日を予測し、あらかじめ休暇を取得することが重要です。体調の良い時にはできるだけ仕事を進め、調整がしやすいように計画を立てましょう。

③ 体調管理の徹底

治療中は疲れやすく、集中力も低下しがちです。自分の体調をよく理解し、無理をせず適切な休息を取ることが大切です。栄養バランスの取れた食事や適度な運動も、治療中の体力維持に役立ちます。

④ サポートを受ける

精神的にも身体的にも膵がんの治療は大きな負担になります。家族や友人、同僚の支えを受けながら、孤立しないようにしましょう。心理カウンセリングや患者会も心の支えになります。

4. 膵がんと共に生きる

膵がんと診断された時、最初は不安や恐れが強いかもしれません。しかし、仕事との両立も含め、生活の質を保ちながら治療を進めるための方法はたくさんあります。医療チームと相談しながら、無理のないペースで生活を再構築していくことが大切です。

5. まとめ

膵がんの治療と仕事の両立は挑戦的ですが、職場の理解、柔軟な勤務形態、体調管理を通じて可能になります。自分のペースを大切にし、サポートを受けながら前向きに進んでいきましょう。