癌遺伝子パネル検査

日本癌治療学会は2024年6月19日、 全国がん患者団体連合会、 日本医療政策機構、 欧州製薬団体連合会 (EFPIA Japan)、 日本臨床腫瘍学会との5団体連名で、 2024年度 (令和6年度) 診療報酬改定における癌遺伝子パネル検査の取り扱いに関する緊急共同声明を厚労省に提出したと発表しました(https://www.jsco.or.jp/Portals/0/2_PDF/2024/2024_06/CGP緊急共同声明文_20240619.pdf)。

昨年も同要望を提出しましたが、認められず今回の緊急共同声明は、 2023年12月15日に同団体らが共同で公表した 「癌遺伝子パネル検査の実施に関する共同声明」 において要望した 「癌遺伝子パネル検査について、 初回治療から適切なタイミングで実施できるように保険適用を拡大すること」 が、 2024年度診療報酬改定において認められなかった背景に基づいています。

初回治療からの保険適用化を要請

同共同声明では以下の2点が改めて強く要請されています。

①初回治療を受けるタイミングでの癌遺伝子パネル検査の実施により、 コンパニオン診断に基づく適切な治療を受ける機会を患者が享受できること。

②そのためにも2026年度 (令和8年度) 診療報酬改定までのできる限り早い時期に、 遺伝子パネル検査が初回治療から適切なタイミングで実施できるよう、 公的保険の適用を拡大すること。

2024年6月24日現在、 日本の保険診療では使用可能な癌遺伝子パネル検査は、 「標準治療がない、 または局所進行または転移が認められ標準治療が終了となった固形癌患者 (終了が見込まれる方を含む) のみ」が対象とされています。 しかし現在の状況にでは、 最適な治療選択の機会を患者から奪う事態が続くことが危惧されています。今回の共同声明は、武見敬三厚生労働大臣をはじめとした関係者に提出されました。

では、一体癌遺伝子パネル検査とは何でしょうか。癌遺伝子パネル検査は、がん細胞に起きている数十から数百の癌関連遺伝子の変化を一度に調べ、がんの特徴を知るための検査です。がんの特徴が分かれば、一人ひとりに適した治療法を探すことができます。検査結果はエキスパートパネルと呼ばれる専門家の集団で検討し、担当医はエキスパートパネルで話し合われた結果を参考に治療法を患者さんに提案します。代表的にはFoundationOne® Liquid CDxがんゲノムプロファイルなど5種類の検査商品に保険認可があります。どの遺伝子が多く出ているかによって、どの抗がん剤が効きやすくなるかもわかる有益な検査でがんと診断された方には初回より受けていただいて、その後の治療を参考にできれば成績がより良くなると思われます。ただし、実際に遺伝子パネル検査が指し示す抗がん剤や分子標的薬の選択が必ずしも保険認可されているとは限りません。さらに治療とともに発現する遺伝子のパターンが変わることも起こりえます。その上で、今後データが集積されるにつれ、医療者側の治療薬剤の選択の幅が広がれば良いと考えています。

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