去勢抵抗性前立腺がん:EZH2酵素の予想外の役割と新たな治療戦略

Weill Cornell Medicineの研究により、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC:castration-resistant prostate cancer)で酵素EZH2が腫瘍の進行を促進する重要な役割を果たすことが明らかになりました。この発見は、限られた治療選択肢しか持たない患者に新しい治療法を提供する可能性があります。
研究では、PKCλ/ιタンパク質がCRPC細胞でEZH2の活性を抑制する通常の機能が欠損している場合、EZH2が異常な形態を取り、タンパク質合成を活性化し、TGF-βのような増殖因子を促進することが確認されました。この異常なEZH2の活性により、アンドロゲン受容体(AR)阻害剤が効かない治療抵抗性がんが進行します。

研究の成果と治療の可能性
研究チームは、EZH2の異常な活性やTGF-β経路を阻害する治療法を試験し、PKCλ/ι欠損細胞で治療抵抗性を逆転させることに成功しました。これにより、AR阻害剤に対する感受性が回復し、免疫抑制的な腫瘍環境の改善も期待されています。

今後の展望
この研究は、EZH2阻害剤やTGF-β経路阻害剤とAR阻害剤を併用した臨床試験の基盤を築きました。ただし、PKCλ/ιが高発現している腫瘍では、EZH2阻害が逆効果となる可能性もあるため、個別化治療が求められます。
治療抵抗性前立腺がんにおけるEZH2経路の複雑性を解明することで、より精密な治療が実現する可能性が広がっています。研究の詳細はNature Communications(https://www.nature.com/articles/s41467-024-53874-2)
をご覧ください。

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