革新と希望を照らすエクソソーム―最先端マイクロ流体技術が拓く遺伝性難聴の新時代

 

2025年の国際科学者フォーラム(International Scientists Forum)[1]で示された知の結集は、がんや難病の治療を未来へと導く架け橋となりました。その熱気の余韻も冷めやらぬ中、遺伝子治療の新たなパラダイムに向けて、私たちは今、微細な細胞外小胞――エクソソーム(Extracellular Vesicles, EV)に新たな希望を見出しています。

従来のウイルスベクターに代わる遺伝子編集手法として、米国フロリダ大学Xiaoshu Pan博士らが「μDES」と名付けられたマイクロ流体電気穿孔プラットフォームを開発しました[2]。この技術は、RNP(ribonucleoprotein)をEVへ効率的かつ高精度に搭載可能とし、とりわけ遺伝性難聴モデルマウス(Myo7a遺伝子変異)へのsgRNA:Cas9 RNPの送達による、低オフターゲットかつ非耳毒性の遺伝子編集成果を実証しています。

μDESは従来法と比較して、RNP搭載能力が約10倍、処理スループットが1000倍に向上。EV膜の一過性可視化と低電圧下での安全な電気穿孔により、EV本来の構造・機能温存と高い均質性を両立させています。

この技術は、近年注目される個別化医療の実現に不可欠な、患者ごとの多様な変異背景に応じた治療カスタマイズを可能にします。μDESを介したEVゲノム編集は、特定疾患に留まらず再生医療や難治性がんのターゲティングにも応用される未来像が鮮明になりつつあります。

東京がん難病支援センターでは、末期がんや脳疾患患者へのエクソソーム治療で顕著なQOL向上や疾患進行の制御が報告[1]され、世界の研究者から大きな関心を集めています。この成果は、エクソソームを用いた多分野融合型治療のエビデンスとして、国際舞台の議論を牽引しています。

科学の進歩を刻む今、微細なエクソソームが繋ぐ知と希望のバトンは、未来の医療に新たな地平を切り拓きます。私たち研究者は、臨床現場と学術の架け橋としてこの革新を深化させ、より早く「個別化×安全性×持続可能性」の精密治療へと昇華させていく使命を有しています。

*関連リンク:
・[1]東京がん難病支援センター ― 2025 International Scientists Forum報告

・[2]Inside Precision Medicine ― Extracellular Vesicles Show Promise for Gene Therapy Alternative
https://www.insideprecisionmedicine.com/topics/precision-medicine/extracellular-vesicles-show-promise-for-gene-therapy-alternative/

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