Cure51が主導する「Rosalind Study」は、治療困難ながん種における「奇跡的生存者(スーパー・レスポンダー)」の生物学的メカニズムを解明することを目的とした国際的なプロジェクトです。この研究は、世界中のトップクラスのがん研究機関との協力により進行しており、3種類の侵攻性が高いがんを対象としています。
プロジェクトの概要
「Rosalind Study」は、治療抵抗性の次のがん種を対象としています:
• 広範期小細胞肺がん
• 原発性膵臓がんのステージ4
• 膠芽腫(Glioblastoma)
対象となるのはこれらのがんにおいて、最上位3%の長期生存を達成した患者です。プロジェクトでは、これらの患者から収集された腫瘍サンプルを用い、マルチオミクス解析(遺伝子、プロテオーム、エピジェネティクスの多層的解析)を通じて、奇跡的な生存の背景にあるバイオロジーを探ります。
主要なパートナーと技術
Cure51は英国の9つの主要がん研究機関を含む世界40か国、100以上の病院と連携しています。また、次世代シーケンシング技術を提供する10x Genomicsとのパートナーシップにより、Visium HD精密技術を活用して腫瘍の微細環境を詳細に解析しています。
さらに、2024年3月に行われたシード資金調達で1,500万ユーロを獲得したCure51は、この資金をもとに最先端の研究体制を整えています。
期待される成果
プロジェクトの目的は、がんの生存に関与する新しいバイオマーカーや治療標的を特定し、がんをより管理しやすい疾患とするための基盤を築くことです。Cambridge University HospitalsのThankamma Ajithkumar博士は、「同じ治療を受けても患者による結果が大きく異なる理由を探ることは、全患者の治療成績を向上させるために重要」と述べています。
Cure51の展望
Cure51の共同創設者兼CEOであるNicolas Wolikow氏は、この研究が「がんを征服するための鍵」となることを目指しています。同氏は、「スーパー・レスポンダー」の生物学を逆解析することで、将来がんを慢性的な疾患として管理できるような治療法を目指していると語っています。
まとめ
Cure51の「Rosalind Study」は、がん研究の最前線で奇跡的な生存を科学的に解明することで、全患者に利益をもたらす治療法の開発に寄与することを目指しています。この新しいアプローチがどのようにがん治療を変革するのか、今後の進展が期待されます。
詳細については、Cure51の公式情報をご覧ください。
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